学力は集団に宿る

　子どもたちの取り巻く社会環境は一昔前とは大きく変化しております。教育においてもスマホやタブレットなどによるICT教育が広まっております。しかし、このような教育が広がるほど「先生と子どもたちがしっかり向き合った、血の通った教育」が隅に追いやられつつあるのも現実です。
　「学力は五感を使って学ぶことが有効である」ということをご存知でしょうか。学習は、その時の先生や周りの生徒の話し方や様子、教室の雰囲気、教科書の感触など視覚や聴覚などの「五感」と紐づけながら記憶として定着します。無機質なオンラインではそのような複数の感触がないので効果が薄れるわけです。検索して得た知識はすぐに忘れてしまうことを「Google効果」と呼びますが、ICT教育もそれに近いのです。
　また、「学力は集団に宿る」とも言われています。集団の場合は「私もできるかも」など周りから刺激を受けたり、他人の学習方法を参考にしたり、いろんな影響を受けることで、個人で学習するより学力が伸びやすいのです。個別学習の場合はそばで先生がすぐに手を差し伸べます。これは一見ありがたいことのように思われるかもしれませんが、便利なだけで学力にはマイナスなのです。これもまた「Google効果」と同じで、安易に手に入れられるために記憶には残らないわけです。
　教育の原点は「寺子屋」です。京大進研では「環境の変化に合わせて変わらなければならないもの」と「環境が変わっても変えてはいけないもの」を意識し、子どもたちに正面から向き合い、子どもたちの「わかった！」という喜びを大事にしながら、自立した人に成長してもらえる教育をこれからも続けていきたいと思います。

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